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出かけられない日々、同じ町で夏を終えていくなかで、お盆という行事にある神秘性、東京西方の多摩川周辺にある故郷とは異なる文化に魅せられた。不可解であること慣れないことに目を開くと、散歩も旅行と同じになる、どこにいても。
三十度を過ぎているにも関わらず夏が来ないような、セミの鳴き声、扇風機の振動、遠く遠くの風鈴、私はとらわれている、夏は全て遠いところにある。私の外にそれはあり……
珍しく夜のうちに眠った私は、まだ太陽が東側にあるうちに家から彷徨出した。家の前の大きな街道を歩いて、競艇場へ向かっていた。日の出前からあの旅へ嗾すような奇妙……
私も坊主もそのうち昼寝になっていたらしく、目を覚ますと台所の小窓から濃いピンクの空が見えていた。私は坊主を置いて家を後にした。ライターと蝋燭をポケットに入れ……