ハイパーバラード
2021
本当の人を書きたいと思った、優しさとか。いくつかの登場人物にはモデルとなった人物がいる、みんな優しい人。2020年から少しずつ準備をはじめ、2021年の3月に完成。新人賞に出すために急いだため、終盤の密度に変化があり駆け足気味なのは否めないが、直すべきでない要素の方が多いように思えるのでそのまま公開する。ちなみに現在、筆者の私は当時頭に描いていた街に似た場所に住んでいるので、時々あのイチゴアパートかなんだかに住んでいる人が砂浜や、道なんかを歩いてんじゃないかと見まわしてしまうことがある。
モーニングサテライト
群れから脱落した鳥が数匹、灰色の空に迷っていた――が、彼らはやがて遅れたもの同士で集まりゆっくり飛ぶ小さな群れを作り、どこかへ消えていった。旅の終わりに特有……
ストロベリーフィールズ
看板はあずき色のペンキで粗くに塗り直され上に白のゴシックで苔桃荘と文字があった。しかし職業訓練校第一寮の名前が深く彫られているのは隠しきれていなかった。軽ト……
After 40 days
水の高さが今と同じでなかった時代、人はもっと深いところに住んでいた。カノエは海を見ながら言った。これより深いところやで、いま私らには海の底にしか見えんところ……
ハイパーバラード
秋の深くなった土曜の昼間、ヒタキは高月の部屋で話し込んでいた。午後から彼女は中学校へ行くと言った。バレー部の練習をみないといけないらしく、もうジャージを着て……